2010年2月6日土曜日

冷戦時代の核シェルターを転用したデータセンター

最近忙しかったり、体調を崩していたり、ネタがなかったりということで、ブログの更新をサボっていました。読んでる方申し訳ありません。今日は、ちょっと変わったものを紹介しましょう。

以前の会社でドイツに顧客がありまして、その顧客がさらに顧客のデータセンターにJJの製品を納めていました。そのデータセンターというのが、大分変っておりまして、タイトルの通り、冷戦時代の核シェルターを転用したものなのです。

場所はドイツ南西部の大都市Stuttgartの西数十キロの森の中にありました。Stuttgartは工業都市として有名で、Mercedez BenzやPorcheの本社はもとより、終戦後の米国占領地域だったこともあり、米国系企業も多くあります。

冷戦時代は西側諸国は東側に向けミサイルを向け、東側は西側に向けといった状況で、いつ戦争(それも核戦争)が起こっても不思議ではないような状態でした。そのため、ドイツ(当時は西ドイツですね)国内にも各所にNATO軍や米軍の基地が置かれ、同時に要人の避難の為に各所に地下核シェルターが建設されました。私が訪問したのは、Stuttgart市及びその属するBaden-Württemberg州の地方政府要人が有事の際に避難するために建設された核シェルターを転用したデータセンターです。

実際に機器が設置されているのは核シェルター部分なのですが、システムの操作は地上にある事務所で行います。ここは瀟洒な感じで、森の中の別荘のようで、なんと言うこともありません。事務所から道路を挟んだ向かいに核シェルターがあります。

これが核シェルターへの門ですね。何か物々しさを感じますね。ワクワクしてくるでしょう。

地下核シェルターなので、地上部分はほとんどなく、土饅頭のようになっており芝生で覆われています。鉄塔のようなものは、核戦争後に他のシェルターと通信するための設備だと思いますが、着弾が近ければ鉄塔も吹き飛ぶか、溶けてしまうでしょう。写真で黒く見えるところが進入口です。

内部は地下5階の構造です。核攻撃に耐えるため、コンクリートの厚みはStuttgartの町(想定被攻撃地点)に面した部分は6mもあるといっていましたね。




内部に入って扉を閉めると、扉はこんな感じです。パイピングなどが気になりますが、作用などは良くわかりません。

内部には、避難してきた大勢の人に食物を提供するためのキッチンや、空気を濾過するための装置や、自家発電装置や、地下深くから飲料水を汲み出すための大深度井戸などが装備されています。

また、地方政府要人たちが、「これからどうすんべ?」と作戦を立てるための作戦司令室などもありました。

ただし、もともと核シェルターをデータセンターに転用しているので、データセンターとしての容量は貧弱なものがあり、スペースの隙間に多少ラックが並んでいるといった感じでした。

自家発電もあり、もと核シェルターなので、災害には滅法強いとは思いますが、そもそも核攻撃クラス災害があった場合に一箇所だけのサーバーが大丈夫でも意味があるんだろうかと考えてしまいますね。周辺の通信インフラとか死んじゃったらだめだろうしね。

このデータセンターは6年位前に訪問しましたが、その後繁盛しているのかどうか、よくわかりません。

この写真は地下深くから汚染されていない水をくみ上げる密閉式の大深度井戸です。地下空間にしばらくいたら、空気がよどんでいたせいか、みんな気分が悪くなってしまいました。この日の仕事はこれで終わったので、Baden-Badenまで足を延ばして温泉に入ってきました。

ここは何種類もの蒸し風呂やサウナや水風呂や温浴槽などがあって結構楽しめました。ちなみに水着ではなくスッポンポンで入る方式です。一応男女が別れているのですが、何故か最後のお風呂だけつながっていましたね。(ちなみにこの日は女湯は休みでした)

途中、スキンヘッズの強面のオニーサンにブラシで乱暴に体を洗われたりしましたが、なんとか無事に出てきました。

最後の部屋はRuhe Raumといって、静かな部屋で柔らかな毛布に包まって休みます。これがまた何とも気持ちよかったですね。核シェルターで気分が悪くなった一行も温泉で気を取り直しました。

ドイツというとビールのイメージが強いのですが、南西部のライン川やネッカー川の流域はワイン作りが盛んです。気候のせいもありますが、かつて古代ローマ帝国の一部だったという歴史もあったためですね。ちょっと郊外に行けばこんなブドウ畑を目にすることができます。

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