2016年1月31日日曜日

2015年のピンボール (aka. Musee Mecanique)

私は仕事の関係で、年に数回海外に行きます。だいたい四半期に1回くらいですかね。米国に行くことが多く、昨年(2015年)は米国には2回行きました。(昨年はそのほか台湾に1回と中国(上海)に1回)

米国と言っても最近は行き先が決まっており、シリコンバレー(San Jose近辺)周辺にほぼ限定されています。以前は海外出張というと結構はしゃいだものですが、米国などは20回以上行っているので、あまり盛り上がりようもありません。一人での出張の時などは、訪問先に出かける以外はホテルの部屋からもほとんど出ず、食事もスーパーで何か買ってきて部屋で一人で食べることも多いです。

しかし、今回は、若手社員2名の引率ということもあり、また、一人は米国が初めて、もう一人は以前観光できたが10年以上前の事で、西海岸は初めてということだったので、多少は米国を見せたいなという気持ちがわいてきました。で、幸い日程的な余裕もあったので、半日サンフランシスコに行こうということになりました。シリコンバレーからサンフランシスコまでは空いていれば車で1時間程度で行けます。残念ながら同行の2名が米国で運転できないんで、私が終始運転していきます。

 まずはGolden Gate Bridgeを見ようということで、ヨットハーバーの方に。カーナビの設定がイマイチだったためか、目的の場所ではなかったのですが、そこそこ美しく見えました。灯台の奥に見えるのが「金門橋」です。リンク先にあるように「橋の建設は1933年に始まり、1937年に完成した。」とのことで、昭和12年の完成ですね。当時の米国の工業技術力には驚きます。

ちなみに麻雀のローカル役に金門橋という役があるそうで、これを調べていて見つけたのですが、初めて知りました。リンク先にはほかにも知らないローカル役がたくさん載っています。

この写真の右手方にかの有名な監獄島Alcatrazが見えます。そこにも一度行ってみたいのですが、渡船で渡る必要があり、時間的余裕が必要なので、今回はパスです。

で、その後に有名な観光地であるフィッシャーマンズワーフに行きました。 ここに来るのも久しぶりです。普段出張ではあまり観光などしないので..ぶらぶら歩いていると埠頭の所に潜水艦が係留されていて、有料ですが中も見学できるようです。

これは非常に興味を覚えたのですが、由来を読むと、第二次大戦中の潜水艦で、日本の艦船を何隻も沈没させているそうです。いまさら米国には敵意など持ち合わせておりませんが、そうはいっても、当時の憎き敵国の潜水艦に乗るわけにはいきません。やせ我慢をして通り過ぎました。潜水艦の奥には輸送船のような軍艦もありましたが、そちらも外から見ただけでした。

埠頭の所の建物に入ってみたのですが、ここが非常に面白く、今回のブログ記事のメインテーマです。建物の中には時代がかったゲーム機が所狭しと並んでいて、しかも¢25コインを入れると本当にプレイできるのです。この施設の名称はThe Musée Mécanique (English: Mechanical Museum)というらしく、ここにWikipediaの記事(英語版ですが)のリンクを張っておきます。

実は子供の頃からこういうのは好きで、高じて学生時代はずいぶん夢中になってプレイしたものです。最初の写真はかなり旧式のもので、たぶん1960年代~1970年代のものだと思います。

この時代のものは、コンピューター制御ではなく、ボールがバンパーにあたるとそれがスイッチになってソレノイド(電磁石)が動作して弾き返すようなものでした。もちろん音楽や音声などは出ずに、「チンチンチン」とか、点数が上がる時の「カチカチカチカチ」なんて音が響いたものです。

当時のメーカーはシカゴあたりに集中しており、Bally, Gottrieb, Williamsあたりが有名どころでしょうかね。

フィールドの詳細はこんな感じです。なんだか素朴でいいですよね。

この施設にはほかにもメカニカルな古いゲーム機がたくさん置いてありました。 写真も何枚かあるのですが、きりがないのでここにはあげません。このリンク先に1.297枚以上の写真が上がっていますので、そちらを見てください。

その後1980年代に入ると、ピンボールも電子制御になったり、音楽や音声が鳴り響いたり、はてはマルチボールと言って、一定の条件で複数のボールが出てきて、プレイヤーとしてはてんやわんやになって、意外と早く終わってしまったりします。

そのあとは、コンピュータ方式のアーケードゲームが一般的になり、客の回転が悪くメンテも大変なピンボールは廃れてしまいました。日本でもなかなか見ることができないのですが、神田駅前のタイトーのゲームセンターに二台置いてあるのは知っています。

学生の頃に、村上春樹が「1973年のピンボール」という小説を発表して、大学生協で初版本を買って読んだものでした。あまり生活感のない主人公(友人と翻訳事務所をやっていて、双子の女の子と同棲している)が思い出に残るピンボール台(3フリッパーの「スペースシップ」という台だったかな)を探すような話だったと思います。結局ピンボールのコレクターが持っているのを見せもらうも、プレイする気にはならず..まあ、その台が忘れられない何かの思い出を象徴していたのかと思います。

で、そのコレクターというのが倉庫のようなコレクションルームにたくさんのピンボール台を並べていたのですが、その記述はその後何十年も頭を離れませんでした。

今回の記事を書くのでちょっと調べたら、米国には何か所かピンボール博物館的なものが存在するようです。

1.Las Vegas Pinball Hall of Fame
2.Pacific Pinball Museum 
3.Roanoke Pinball Museum
4.Museum of Pinball

とここまで書いたらWikipediaにPinball Museumという項目があり、リストもついていることに気が付いたので、ここにリンクします

ブタペストにも大規模なものがあるようですね。また日本にも愛知県犬山市に同様な施設があるようです(2016年1月31日現在閉館中)。

 そういえば、かつては日本のセガエンタープライセズでもピンボールを作っていました。「サッポロ」というのは1972年の札幌オリンピックを記念して造られた台。「MIKOSHI」という台もありましたね。セガのリンク先は動画が見られます。

サンフランシスコに話からかなり脱線しましたが、ピンボールの件はまた詳しく書きたいと思います。

2016年1月24日日曜日

景気と自殺率

最後にブログ記事を書いてから、ちょうど1年経ってしまった。最近は時間の過ぎるのが早いものです。

つい最近読んだ記事でこんなタイトルのものがありました.. 「自殺者数、6年連続で減少 15年2万3971人」リンクはこちらです。6年連続ということは2010年から減少しているということですね。かつては年間3万人を超えていましたが、なんと2万4千人を切る水準にまで減少してきました。これはこれで喜ばしいことだと思います。

減少の要因としてはいろいろ考えられますが、一つには景気の回復という要素が挙げられるでしょう。2008年のリーマンショックで一度どん底に落ち込んで、そこからの回復。そして2011年の東日本大震災からの復興需要。そして2012年の暮れから始まる第2次安倍内閣による(正確には日銀の黒田総裁による)異次元の量的緩和を含む、いわゆるアベノミクスによる景気回復と、経済にはプラス要因が続き、景気は回復基調です。(今後の事は不透明ですが)

ということで、景気と自殺率との間に相関があるのかを、ちょっと調べてみました。昔だと図書館に赴いて、3か月~半年遅れの統計データを探してきて..とやったものでしたが、今は便利な世の中になって、各種の統計データもインターネットで簡単に手に入ります。 たとえば「e-Stat」という「政府統計の総合窓口」サイトがあり、詳細な各種統計データにアクセス可能です。リンクはこちらです。

あまり遡っても仕方ないので、1980年以降の自殺率(人口10万人当たり年間何人自殺するか)をグラフにしてみました。


次は景気ですが、景気の指標は各種ありますが、自殺と関連しそうな指標として完全失業率を調べてみました。で、1980年以降の完全失業率のグラフはこちらです。




ううむ、自殺率と完全失業率と、関係がありそうで、そうでもないような感じはありますね。2010年以降のトレンドは大体一致していますが、2007年くらいに完全失業率がガクッと下がっているのに自殺率にはあまり影響したいないような感じです。また1994年以前は完全失業率が今よりも低水準だったのに自殺率は結構高かったりします。

こういった二種類のパラメータの関係を調べるときには散布図をいうグラフを使います。



これは横軸を自殺率に、縦軸を完全失業率にとって、毎年の値をプロットしたものです。全体の傾向もみると、自殺率と完全失業率との間に関連がありそうに見えます。こういった場合、数値的に分析するために相関係数というものを計算します。真面目に計算するとちょっと面倒なのですが、今はエクセルで関数(pearsons)簡単に計算することができます。

相関係数の説明はこちらのリンクを読んでください。相関係数が0.7よりも大きい(最大で1)場合に「強い相関」があるということができます。

ちなみに上記の完全失業率と自殺率との相関係数は、0.86ですので二つのパラメータの間には強い相関があるということができます。

ここで気を付けなければいけないのは相関関係というのはあくまでも相関関係であり、直接因果関係とは限らないことです。ただし、容易に想像がつく範囲で、仕事が見つからないことに絶望して自らの命を絶っていた人数が、失業率の改善によって救われているのではないかという仮定は考えられますよね。 そうだとすれば、景気改善はまさに人の命も救っていることになります。

この辺の因果関係の立証もできれば今後のブログ(一年後かも知れませんが)の記事にしたいと思います。

と、ここまで書いてこの辺をきちんと分析している記事を見つけたのでリンクを張っておきます。統計が若干古い(2012年まで)のですが、非常に参考になります。内閣府のレポートですね。