2011年5月3日火曜日

中国の屋根

私は仕事で色々な国に出かけて行ったりします。もちろん仕事がメインなので、いつも時間に追われてあまり観光するような余裕は無いのですが、それでも時間を見つけて町並みなどを見て回るのは興味深いものがあります。

中国本土ももう何度も(10回以上は行きましたかね)訪れており、この10年ほどの経済発展には驚くものがありますが、一方大都市はどこに行っても高層ビルばかり目立って、どこも同じ感じであまり面白みはありません。

ところで、昨年の10月に、中国の江蘇省にある蘇州という地方都市を訪問する機会がありました。現地の会社を訪問するためですが、ここは水の都でなかなかに風情のある街でした。 


写真に見られるように市内にはいたるところに水路があり、水路沿いの情景も非常に風情があります。下の地図を見ても判るように、蘇州は揚子江の河口近くのデルタ地帯で、すぐ近くに太湖という大きな湖があり、周辺も多くの池が点在する水の都です。太湖沿いには無錫という町もあり、上海からも近いことから工業地帯を形成しています。
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風光明媚なこともあり、古い庭園も数々あります。これらの庭園群は世界遺産にも指定されております。詳しいことはWikipediaの記事をご覧ください(リンク貼っています)。出張者にはそんなに観光する時間はありませんので、ホテルの近くにある網師園という庭園に歩いて行ってみました。ここも世界遺産のひとつです。

 日本の大名庭園のような広大さは無く、割合と細かく切った区画にそれぞれ異なる趣の庭園が造園されています。まあ、こういった建物と一体になった風景っていいですよね。
 木造瓦屋根の建築様式は古く中国から我が国に伝わったものですが、今では様式が大分異なります。そういった違いに目をやるのも興味深いことですね。この極端な屋根の反り返り具合なども日本の建築では見られません。

屋根の一番高い部分(山で言うと尾根ですね)を棟といいますが、中国の場合は、この棟が丸いんですね。これも日本と様式が異なり面白いですね。

この部分も興味深いですね。左側の壁の部分は日本では「うだつ」と呼ばれる構造体で、火事の時に隣家からの延焼を防ぐものでしょうかね。それよりも興味を引くのが、右側の棟に装着された鬼瓦のような装飾瓦ですね。これは何でしょうかね?怪獣のようにも魚のようにも見えます。
別の屋根ですが、こちらにもちょこんと乗っています。ちょっと可愛いですね。この飾り瓦が気になって見てみると、周辺地域の古めの民家の屋根の両側にも同じような装飾瓦が装着されていました。ただし、民家のものはこんなに凝ったものではなく、幾分簡略化はされています。

天平時代に建造された唐招提寺などの寺院の棟の両端には鴟尾(しび)と呼ばれる装飾瓦が装着されています。Wikipediaの記事では

寺院仏殿などによく用いられる。後漢以降、中国では大棟の両 端を強く反り上げる建築様式が見られ、これが中国などの大陸で変化して3世紀から5世紀頃に鴟尾となったと考えられている。」

とあります。

唐代末に鴟尾(しび)は魚の形に変化し、、(海に住み、よく雨を降らすインドの 空想の魚)になったとありますが、中国の屋根についているのはコレのことかも知れませんね。鯱は堂内の厨子などの屋根を飾っていたものを、織田信長が安土城の天守閣に取り付けたことから、屋外の屋根につけるようになったもののようです。いわゆるシャチホコですね。こういった魚由来の装飾を屋根に取り付けるのは火災除けの意味があったようですね。

それで、中国の屋根に取り付けてあるものは何かですが、結局よくわかりませんですね。螭吻(ちふん)、または、鴟吻(しふん)(拼音:Chīwěn、Chīwěi、Chīwěn)は龍生九子の一つ。)と呼ばれる想像上の生き物かもしれません。龍生九子というのは龍が生んだ九つの子供のようです。螭吻は何かを咥えるのが好きなので、屋根が飛ばないようにという思いが込められているのかもしれません。

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