今年は年明けの入院などもあって、しばらく海外出張から遠ざかっていたのですが、今回は重要な用事があり、久しぶりに台湾に行って来ました。猫空は以前から一度行ってみたかったのですが、時間的な問題や、ロープウエイの運行停止問題などで、なかなか行く機会がありませんでした。先週台北のホテルでテレビを観ていたら、ロープウエイが運行しているようでしたので、多少時間もあり、思い切って行って見ることにしました。
台北では熱心に公共交通機関の整備が行われていて、年に何回か訪問するたびに、MRT(Mass Rapid Transit, または台北捷運)の新しい路線が開通しているのは驚きです。まあ、整備の速さと規模は北京には敵いませんが、それでも、数年前に比較すると利便性は確実に向上しているのは間違いありません。
今回羽田で新しいガイドブック(2010年10月発行版)を購入したのですが、そのガイドブックにも掲載されていない路線がすでに開通していて驚いたものです。左の写真は昨日駅で撮影した最新の路線図です。
台北市を囲む地域は台北県と呼ばれていましたが、昨年暮れにたくさんの周辺市が合併して、新北氏が誕生しました。いままで三重市とか中和市とか樹林市だったものが、これを機に三重区、中和区、樹林区などになりました。台北周辺地域がベッドタウン化して、多くの人口が台北市内に通勤しているのに、政治的・予算的な優先権が与えられていなかった事も合併の一因であるようです。
で、猫空ですが、路線図の右端から上のほうを通って中央を下降して右下に行く茶色のラインが見えると思いますが、これが文湖線で、右下の動物園駅のところから、猫空ロープウエー(猫空纜車)が出ています。
台北もこのあたりまで来ると山もあり、なかなか長閑な感じです。市内は車やバイクやバスが一杯で空気も悪いので、マスクをしている人もよく見かけますが、この辺ならば大丈夫そうですね。
マンションなども目立ちますので、台北へのベッドタウンにもなっているのでしょう。
猫空ロープウエイはMRTの路線の一部として運転していることもあり、料金は終点まで乗ってもNT$50(日本円で150円もしません)。日本でもスキー場などにあるゴンドラみたいな感じで、左の写真のように進んでいきます。
かなり高度がありますので、なかなか気持ちの良いものです。床が透明になっているゴンドラもあり、台数が限られているので、専用のレーンに並んで乗るようになります。
乗降できる途中駅が二箇所あり、指南宮駅で降りてみました。ここには指南宮という創建1890年の道教寺院があります。ここのサイトによると台湾道教の総本山と書いてありますね。駅前には香港の道教信者との交流開館のようなものが目立ちました。
山中の傾斜地にこのような寺院が聳えている様はまさに荘厳であります。こういった寺院がXX宮、YY宮と何箇所にも建立されています。
ここは道教寺院ではありますが、神仏混交みたいで、参道には電柱にこのような看板も見られます。南無阿弥陀仏ですね。やはり漢字の国はうれしいものがあります。
境内には植物も植えられて、たぶんお坊さんが世話をされているのだと思いますが、植栽も大変綺麗に整備されています。
指南宮駅から再度ロープウエイに乗って一駅行くと終点の猫空駅です。駅舎は結構モダンなつくりでこんな感じです。猫空駅を拠点として、私のように茶畑の茶芸館に向かうもよし、自然に親しむもよし、寺院をめぐるも良しといったところでしょうか。ロープウエイも終点付近も家族連れや若いカップルで満ち溢れていて、皆たいへん楽しそうでありました。
茶畑や茶芸館は猫空駅から少し離れたところにあり、ガイドブックに紹介されていたお目当ての店「邀月茶坊」は歩いて20分くらい掛かります。というのも着いてから判ったので、到着時にはもう汗だくでした。途中は台湾の自然を堪能できる山道(といってもバスが通れる舗装道です)を堪能しました。傾斜地にパパイヤの木が一本実をつけていました。
猫空とは言っても猫がたくさんいるわけではありません。道すがら名前の由来が書かれた看板を見つけました。それによると、この辺の渓流には川底に穴の開いた地形が特徴的で、それをあらわすことばの発音が地方の言葉で「猫空」に似ていたので、そうなったようです。(中国語の堪能な方が読んでいたら補足してください。)
で、歩くことしばし。「邀月茶坊」の門が見えてきました。
なかなか趣がありますね。門をくぐるとアプローチです。
なかなかいい感じです。店に入ると、席を決めますが、冷房の効いた室内の席と外のテラス席がありますので、ここは迷わずテラス席に。こんな感じです。
日本語は通じないので、ごにょごにょ言っていたら「広東語か?」と聞かれてしまいました。でもなんとか日本語のメニューを出してもらい、注文です。お茶と、饅頭を頼みました。普通の食事も可能です。
店の人が親切にお茶の煎れかたを伝授してくれますし、湯飲み茶碗の下にみえる紙片にも中国語で説明が書いてあります。饅頭はこんな感じです。蒸したてで、大変おいしかったのですが、一人で六個は一寸多すぎたかもしれません。
饅頭の写真はちょっとフィルタリングしてあります。大汗をかいて山道を歩いたり、言葉が通じずに奮戦したりと、いろいろと大変でしたが、念願の自然の中での優雅なティータイムを過ごすことができました。とても楽しかったです。
猫空なのに猫はいないのかと落胆された方のために、一枚だけ写真を上げておきます。これは別の茶屋にいた猫です。こっちを向いてくれなかったので背中だけの写真でした。
邀月茶坊や他の茶芸館の訪問記はネットにもいといろと掲載されておりますので、もし行かれるようでしたら、そちらもご参照ください。
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