2009年10月18日日曜日

美術作品に見る猫

美術作品の題材として猫が登場することは、猫を神聖な存在として崇めた古代エジプトを除いて、近代まではあまりありませんでした。


それでも猫好きの芸術家はいるもので、ウィーン世紀末の分離派を代表する画家であるグスタフ・クリムトは大の猫好きだったようです。56年間の生涯を独身で通した(数多くのモデルの女性と関係を持った彼はホモセクシャルではなかったようですが..)彼は8匹の猫を飼っていたということです。この写真は晩年のクリムトですが、いとおしそうに猫を抱いている姿は、彼の猫に対する大いなる愛情を感じざるを得ません。クリムトは接吻など官能的で美しい作品をたくさん残していますが、残念ながら猫を画題にしたことは無かったようです。彼は1918年に当時流行していたスペイン風邪で亡くなりましたが、同じ年に彼の友人でもあるエゴン・シーレも28才にして同じ病で亡くなっています。インフル恐るべしですね。

それ以降も西洋では猫を画題にする例はあまり無いですね。アンリ・ルソーがライオンや黒豹を画面に登場させていますが、イエネコではないですね。あまり代表的な絵とはいえないと思いますし、JJも実物を見たことがありませんが、パブロ・ピカソが描いた、「ドラ・マールと猫」という絵画が、2006年5月4日にNYのサザビーズのオークションで9520万ドルで落札されたという記事がここに掲載されていますね。ピカソあたりだと、素描で猫くらい描いていてもよさそうですが、あまり思い浮かびませんね。


一方、わが国の絵画においては、古くは鳥獣戯画の一場面に猫が登場しています。鳥獣戯画では、ウサギを公家に、カエルを武家に見たてているそうですが、猫にはどんな寓意が込められているのでしょうか?烏帽子を被って、なにやらずるがしこそうな表情ですね。下級の役人か他人をだます商人といったところでしょうか?

その後しばらく猫の出てくる絵画は無くて、(犬は円山応挙とか伊藤若冲が描いていますし、虎なども画題としては出てきますが、イエネコは出てきません)いきなり飛んで近世まで来てしまいます。

江戸時代では、北斎漫画にも猫が登場しますが、猫の絵画といえば、なんといっても歌川国芳です。

歌川国芳は幕末の浮世絵師で、東海道五十三次絵で有名な歌川(安藤)広重とほぼ同年齢です。国芳は無類の猫好きだったようで、常に何匹かの猫を飼っていて、絵を描くときには懐に猫を抱いて(冬場のことだと思います。猫懐炉ですね。江戸時代は猫温石(ねこおんじゃく)といったようです)描いていたということです。またクリムトとは異なり、多くの猫を画題にした絵を残しています。猫を擬人化し寓意をこめたものや、猫を組み合わせて絵文字を作ったものなど多様な作風ですが、私が好きなのは、割と写実的なこの絵です。これは鼠よけのおまじないの絵で、上部の文言は「この絵は猫絵の名人一勇斎(国芳)の作なので、これを張っておけば家内に鼠は出てこない。」といったことが書いてあります。最後に福川堂記とありますので、版元の宣伝コピーだったかもしれませんね。

そして、ご一新を迎えて明治時代に突入します。いよいよ近代です。この後日本の猫絵画史上の最高傑作が2点登場します。

ちょっと長くなりましたので、続きは次回にいたします。

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